まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのかナシーム・ニコラス・タレブ言葉がわかりにくいが独自の視点は興味深い
 独特の用語や言い回しが多く、翻訳物であることもあって、本書の内容のすべてを正確に理解することは難しかった。が、本書の視点には独自のものがあり、自分自身、常々、投資においては「まぐれ」(あるいは「幸運」「たまたま」)の要素が非常に大きいと感じていたので、共感するところは多かった。

 確率論や生存者バイアスや期待値、後知恵などの点については、あらためて納得する点が多かった。未だに世にあふれる「○億儲けた」系書籍のアホくささをあらためて感じた。また、多くのテクニカル分析についてのコメントも同様にほとんど意味がないものだろう。

 多くの個人投資家に必要なのは、通常考え得るいかなる事態(黒い白鳥が現れる事態)になっても破綻するようなことのないスタンスを持ち、訪れるかどうかはわからないが、いい意味での「まぐれ」をうまく生かせるよう、あるいは「まぐれ」に恵まれる前提条件を整えておくような運用を継続していくことではないか。

この人おもしろい
内容のほとんどは近所のおじいさんの話を聞いているようで退屈だ。私には作者ほどの教養がないので、正直よく分からない話が多い。

ところが、この本で言わんとしていることはとても重要でタメになる。運用の常識となっている理論には、実態に合わないものが多い。偉い先生が言っているから、皆が乗っかっているだけというものばかりだ。

そうした矛盾に切り込んだ本をはじめて読んだ。何度も「その通り!」と、つぶやいた。とても痛快な本だ。効率的市場仮説を唱えるえらい学者が、ヘッジファンドをやるなんて、キリスト教徒がイスラム教徒に改宗するようなものだ、という下りなんかはかなり笑わせてもらった。

欲を言えば、ノイズとシグナルを見分ける方法を教えてもらいたかった。次作の翻訳はまだだろうか。

確率論からポストモダンまで幅広い領域を網羅している
まず著者の株式投資法は「市場には稀な事象を逆手に取るトレーダーがいて、

ボラティリティは良いニュースである。小さな損失はよく出すけど、滅多に儲けない

けどビッグチャンスがくれば大儲けする」数理系のトレーダーです。

本書は投資法そのものよりも、むしろ一般的なトレーダー、ファンドマネージャーが

如何にして間違った手法を用いているかを確率的手法を示しています。

著者の得意のモンテカルロ・エンジンを使い、様々な経路をシュミレートして

現在の状況はその中の唯1つの可能性に過ぎないと解説しています。

ここから大金持ち(ビル・ゲイツなど)はたまたまその可能性の1つがうまくいったに

過ぎない。オーディションに通った俳優も少し状況が変わったならば、カフェでバイトを

引き続き行なっていたかもしれないというまさにパラレルワールド的な内容を

確率論を用いて表現しています。

また著者はポストモダニズムへ継投しているためかやたら哲学から前衛芸術に

精通しています。本全体にエッセイ風にその博識を散りばめています。

巻末の参考文献は必読書の集合です!

実は本の内容以上にこの参考文献は役立ちまして、私の読んだ限りでは

脳科学、確率論、ネットワーク理論など珠玉の名著が並んでいます。

孫引きに使うには持って来いの作品群です。
まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

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