経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)大竹 文雄
センスだけなら身につけられる・・・かも
副題にある「お金がない人を助けるには」に惹かれて購入しました。
ただ、本書を読んでいると、本題の「経済学的思考」について、色々な例を挙げて説明しています。それはそうですよね。(とはいえ、論じられていないわけではありません)
筆者の云う経済学的思考というのは、世の中の出来事を「リスクとインセンティブ」で捉えなおしてみてみること。また、色々な事象の相関関係について、その中にある因果関係を捉えるための思考であるとしています。
また、昨今注目されている行動経済学の事例も紹介してあり、それらも今後の経済学的思考には必要なことと感じました。
語る上での実例として「女性はなぜ背の高い男性を好むのか」「美男美女は本当に得か」「いい男は結婚しているのか」など世間話としても面白いものから、日本的雇用の損得、所得格差と所得の再分配など一般的に経済学のイメージに近い話題までを扱っていおり、それらを改めてインセンティブとリスクからの視点で語っているので、読むのが苦ではなく面白く読み進めることができました。
また、事象の相関関係からあたかもそれらが因果関係であるかのように捉えて議論を進める例は、仕事上私の周りでもよく見られることなので、改めて因果関係を探りだすセンスは必要である!ということを感じました。
おそらくちゃんと経済学的視点で物事を見るためには、たくさんの事例の検証を必要とするのでしょうが、「センス」と言う意味では、見方を変えるだけで物事の捉え方が変わるのだということを理解させてくれる一冊でした。
面白かったです。
インセンティブですね
本書は、ひとびとのさまざまな行動をインセンティブ(意欲)の視点から解き明かす本である。
年金未納やプロ野球から、美人と結婚の問題まで、身近な話題で読んでいて楽しい本。
また、章が細かく分かれているので、短い時間でもちょこちょこ読める。
どちらかというと、経済学よりも心理学の気がした。
経済学はお金をめぐる人間の“心理学”だ。
本書は「経済学」などと堅苦しく考えることはなく、人間の行動をインセンティブ(意欲)の面から切り取ってみると、通説とは異なる物事の見方、考え方が浮き彫りになるという本である。
「自然災害に備える」では、ハザードマップの公開と災害保険税の創設を提案している。確かに、危険地域に住む人たちが税金が高いとなれば安全な地域への移転のインセンティブは働くだろう。
また、「プロ野球における戦力均衡」では、なぜ日本のプロ野球人気が低迷しているのかを分析し、ファンを無視した球団の既得権がそもそもの原因であり、プロ野球機構そのものを株式会社化し、球団の参入の自由化やJリーグのような上位リーグと下位リーグの入れ替え制などを提言している。
その他、年金未納は事実上の「ねずみ講方式」である今の年金制度に対する若者の逆襲であり、団塊の世代以上の既得権を崩さない限り年金改革は不可能であると断じている。
さらに、最近よく言われる「格差社会」については、「誰が所得の不平等を不幸と感じるのか」という視点で、ヨーロッパとアメリカの対比を行い、日本は所得階層間の移動が難しい社会になりつつあるとしている。
本書を通じて、経済学はお金をめぐる人間の“心理学”だと感じた。
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)
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